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空調・衛生設備施工図を描く前に必要なもの4選

2024-01-24

初めて施工図を描くけど、なにが必要なの?

この記事では、施工図を描く前にどんな資料を見る必要があるかが分かります。

設備施工図を描くにあたって、必要なものが”4つ”あります。

必要なもの

①平面詳細図CADデータ

②構造図CADデータ

③設備施工要領書

④設備設計図

それぞれどういうものか順番に見ていきましょう。

①平面詳細図CADデータ

平面詳細図とは、建物の平面図をより詳細に描いた図面です。

床や壁、天井の仕上げや建具の寸法などが記載されていて、壁を建てたり扉を取付ける業者さんが見る建築施工図になります。

私たちが描く設備図は、この平面詳細図に描いていきます。

おもにCADデータはAutoCADのデータが主流ですが、最近ではBIMで効率化を図るようになってきたので、Rebroのデータで受領する機会も増えています。

平面詳細図がない時は一般図(契約図)で設備の納まりを検討します。

一般図とは、お客さんと契約する時に使用する建物の概略図で、壁の仕上げなどの詳細が記載されていません。

設備図面を描いていて、一般図では納まっているけど詳細図だと納まってなかったりすることもあるので、実際に施工をする建築図(平面詳細図)で描く必要があります。

平面詳細図が出てこれば一般図と差し替えをして納まりを再度確認をします。

一般図は細かな部分が記載されていないので、施工図には不向きです。

②構造図CADデータ

構造図とは、建物を支える柱や梁の情報が描いてある図面です。

おもに床伏図(ゆかふせず)、見上げ図(みあげず)、軸組図(じくぐみず)、部材リストがあり、設備図を描く上では必ず必要な図面になります。

まずはそれぞれどういうものか見ていきましょう。

床伏図

柱や梁を平面上に表現したもので、床から下を見下ろした時に見える図面です。

なので見下げ図(みさげず)とも言います。

見上げ図

床伏図と同じく柱や梁を表現したものですが、床から見上げた時に見えるものを平面に描いた図です。

ポイント

床伏図と見上げ図の違いは、表現している範囲が違います。

下記の図は、床伏図と見上げ図の範囲を横から見た図です。

床伏図と見上げ図は、それぞれ青色の部分を真上から表現しています。

2階床伏図と1階見上げ図では2階梁の部分は同じところを見ていますが、柱と壁は見ている範囲が違います

構造の担当者によっては床伏図で表現したり見上げ図で表現することもあります。

あと、建物がコンクリートの場合は床伏図と見上げ図が両方あったり、鉄骨の場合は床伏図のみが多いです。

必要なのは"梁"の情報なので、どこの梁を見ているかよく確認しましょう。

軸組図

構造物を横から見た立面図です。

上記の図は、Y2通りの部分を表していますが、各通り芯ごとに描かれています。

平面では分かりにくい補強のブレスなどを確認するのに見ます。

上階に上がっていくにつれて荷重が小さくなっていくので、柱や梁の大きさも小さくなっていくのが一般的です。

部材リスト

柱や梁などの大きさが載っているリストです。

例えば「2C1」は▢-750×750×32の大きさの柱ですとか、「2G3」はH-800×300×14×26の大きさの梁など、建物に使用する構造物のサイズがそれぞれ載っています。

補足:なぜ構造図が必要なの?

一般的に設備は普段目に見えない天井の中にあるので、天井と上階の床の間に納めていきます。

そのときに障害物として現れるのが「梁」になります。

梁の情報を読み間違えれば、梁と設備が干渉して現場でトラブルになるのでよく確認する必要があります。

下の図はダクトが梁に干渉しているので、梁を避けたものです。

このように設備は梁を避けて納まりを考えないといけません。

ただ、どうしても納まらない場合は梁に穴をあけることもできます。

その場合は補強が必要になるので、梁を施工する前に担当者へ連絡する必要があります。

③設備施工要領書

設備施工要領書とは、ダクトや配管などの施工に関するルールをまとめたものです。

おもに作図に必要なのはダクトや配管の材質と保温材の厚みです。

とくに配管の材質が違えば図面の描き方も変わってくるので、図面を描く前に必ず確認しましょう。

材質と保温材について少し説明します。

ダクト・配管の材質

ダクト

一般的なダクトのほとんどが”亜鉛鉄板”という鉄の板でできています。

亜鉛鉄板のほかにステンレスや塩ビ製でできたものもありますが、図面の表現が大きく変わることはありません。

配管

系統によって材質が変わりますが、金属か非金属に分けられます。

下記の表はよく使用するものをまとめています。

金属

配管材質おもな用途継手
配管用炭素鋼鋼管(SGP)黒管低圧蒸気・油などねじ込み・溶接
配管用炭素鋼鋼管(SGP)白管冷温水・ガス・圧縮空気などねじ込み・溶接
水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管
(SGP-VA・SGP-VB・SGP-VD)
給水などねじ込み
圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG)高圧蒸気など溶接
配管用ステンレス鋼鋼管(SUS)給湯・還水などねじ込み・溶接
銅管(CU)冷媒などガス溶接・メカニカル

非金属

配管材質おもな用途継手
硬質ポリ塩化ビニル管(VU・VP)排水・通気など差し込み
耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管(HIVP)給水など差し込み
一般用ポリエチレン管(PE)給水・工業用水など融着

配管外形は同じサイズであればどの材質でもほとんど同じ大きさですが、継手の大きさはバラバラです。

図面を描く前に材質や継手の種類を確認して、適切な管種で描きましょう。

保温材

ダクトや配管などに覆うことで熱を逃げにくくするものです。

ダクトや配管の中の温度によって保温材の厚みが変わってくるので注意が必要です

上の図のとおり、ダクトや配管の外形が大きくなるので納まりを考えるときには保温材の厚みも考慮する必要があります。

系統によっては保温がない場合もあります。

あと、ダクトや配管を取り付ける支持間隔も重要ですが、インサート図など別の図面を描くときに必要なものなので、ダクト図・配管図を描く上ではそこまで気にしなくても良いです。

インサート図とは、ダクトや配管を上階の床コンクリートから吊り下げるために埋め込む部材の位置を表した図面のこと

④設備設計図

設備設計図とは設備の配置や仕様を表した図面です。

この設計図を元に施工図を描いていきます。

大きく、「特記仕様書」、「機器リスト」、「系統図」、「平面図」の4種類に分かれていて、どういうものか順番に解説します。

特記仕様書

特記仕様書には工事で要求される仕様が記載されています。

使用材料や施工方法などお客さんと設計者で共通認識を持つためのもので、仕様書に書かれている内容で工事を進めます。

ひと通り目を通して分からない所や前述の設備施工要領書と違っているところがあれば担当者へ確認するようにしましょう。

機器リスト

機器リストは工事で使用する機械のリストです。

機器のタグ番号や仕様、型番などが記載されていて、その型番を見て施工図に配置していきます。

空調設備の機器リストであればエアコンや送風機、熱交換器などがあり、衛生設備の機器リストは便器や給湯器などがあります。

便器は衛生器具リストに入っている場合もあります。

機器には全てタグ番号が振り分けられていて、どの番号の機器が平面図上のどこに配置されているかが分かります。

系統図

建物全体のダクトや配管がどこに接続されているかを表したものです。

下記の図は冷媒・ドレン配管の系統図です。

平面図

前述の系統図を平面図に表したものです。

下記の図は1階冷媒・ドレン配管の平面図です。

他にもダクト図や衛生配管図などがあり、各階に分かれています。

施工図を描く際はこの平面図を参考にルートを検討しますが、天井内の納まりによってルートや分岐の位置を変えることになります。

まとめ

設備施工図を描く前に必要なもの

  • ①平面詳細図CADデータ・・・建物の平面図を詳細に描いたもの
  • ②構造図CADデータ・・・建物の柱や梁などを描いたもの
  • ③設備施工要領書・・・ダクトや配管などの施工に関するルールをまとめたもの
  • ④設備設計図・・・設備の配置や仕様を表したもの

以上、作図に必要なもの4つをまとめました。

図面を描く前に上記の資料を確認してから作図に取りかかりましょう。

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